永き世の 遠の眠りの みな目ざめ 波乗り船の 音のよきかな

『なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな』とは、和歌の一首。
この歌は最初から読んでも逆から読んでも同じ音になる「回文歌」である。

意味・解釈1
進みゆく船は心地良く波音を立てるので、過ぎ去る刻の数えを忘れてしまい、ふっと「朝はいつ訪れるのだろう」と想うほど夜の長さを感じた。

意味・解釈2
調子良く進む船が海を蹴立てゆく波の音は、夜が永遠に続いてしまうのではと思うほど心地よいので、思わず眠りも覚めてしまう。

意味・解釈3
長い世の中の遠い戦いの記憶から皆よ目を覚ましなさい。波に乗っている船にぶつかる音の状況はよいのだろうか。

室町時代の頃から、「初夢」文化のひとつとして日本で行われた風習に用いられました。
現代ではマイナーな風習と化していますが、「初夢」に「宝船」はこの歌が簡略化された名残りでもあります。 大抵は冒頭部の「長き夜の」(「長き夜の…」)、あるいは「なかきよの」「なかきよ」と略される。

『村草に くさの名はもし 具はらは なそしも花の 咲くに咲くらむ』や『惜しめとも ついにいつもと 行春は 悔ゆともついに いつもとめしを』などとともに有名な回文和歌のひとつです。