七福神信仰の大いなる秘密―日本神仏信仰の謎を読み解く
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日本人になじみ深い七福神は、親しみやすく、福徳を与える庶民信仰の神々のように見られているが、果たして日本古来の伝承にまつわる神々なのだろうか?遙かなる西域―中国・インド、そしてシルクロードの起点・メソポタミアの戦闘神に起源をもつ七福神のルーツを探り、日本における神仏混淆信仰の秘密を解読する。
第1章 七福神のイメージ・文化・スタイル
第2章 七福神の出生・来歴・変貌
第3章 七福神の本社・神社・寺院
第4章 七福神と宗教・神話・伝説
第5章 七福神と皇室・豪族・幕府
第6章 七福神の地方巡礼と地域的特徴
第7章 七福神の宝船と七不思議
大黒天、布袋、恵比寿、福禄寿、寿老人、毘沙門天、弁財天……。日本人になじみ深い七福神は、親しみやすく、福徳を与える庶民信仰の神々のように見られているが、果たして日本古来の伝承にまつわる神々なのだろうか?遙かなる西域――中国・インド、そしてシルクロードの起点・メソポタミアの戦闘神に起源をもつ七福神のルーツを探り、日本における神仏混淆信仰の秘密を解読する。
◎はじめに 「庶民信仰」の隠された驚くべき秘密
なぜ、今、七福神を取り上げるのか/神仏信仰の位階性と渡来性
■第一章 七福神のイメージ・文化・スタイル
七福神の基礎知識/七福神のイメージ/七福神の文化/七福神の縁起物
第一節 恵比須のイメージ・文化・スタイル/第二節 大黒天のイメージ・文化・スタイル/第三節 弁才天のイメージ・文化・スタイル/第四節 毘沙門天のイメージ・文化・スタイル/第五節 福祿寿のイメージ・文化・スタイル/第六節 寿老人のイメージ・文化・スタイル/第七節 布袋のイメージ・文化・スタイル
■第二章 七福神の出生・来歴・変貌
七福神の出生/七福神の来歴/ガンダーラとシルクロード/ホータンと長安/七福神の変貌
第一節 恵比須の出生・来歴・変貌/第二節 大黒天の出生・来歴・変貌/第三節 弁才天の出生・来歴・変貌/第四節 毘沙門天の出生・来歴・変貌/第五節 福祿寿の出生・来歴・変貌/第六節 寿老人の出生・来歴・変貌/第七節 布袋の出生・来歴・変貌
■第三章 七福神の本社・神社・寺院
七福神の本山・本社はどこか/七福神と護国仏教/七福神と鎌倉仏教/七福神と伊と徳川幕府
■第六章 七福神の地方巡礼と地域的特徴
七福神巡りは江戸ではじまった/七福神と地域的特徴 第一節 七福神と京都/第二節 七福神と阪神地域/第三節 七福神と東海地域/第四節 七福神と東京/第五節 七福神と関東地域/第六節 七福神と九州・四国地域/第七節 七福神と東北・北海道地域■第七章 七福神の宝船と七不思議
七福神と宝船/なぜ、回文が書かれているのか
第一節 宝を積んだ船の意味/第二節 七という数字の意味/第三節 寶と貘の意味/第四節七福神とムカデ/第五節 宝船に積まれた米俵の意味/第六節 宝船とユダヤ・キリスト教/第七節 宝船とタルシシ船
◎おわりに 七福神の神々と縄文のカミガミの比較
●なぜ、今、七福神を取り上げるのか
読者は、七福神と聞いて何をイメージするだろうか。おめでたい福々しい恵比寿や大黒天をイメージするだろうか。七福神が乗った宝船をイメージするだろうか。神社や寺院の片隅にある七福神の像をイメージするだろうか。神社でも寺院でも位からいえば、アマテラス、イザナギ、イザナミ、あるいは如来、菩薩、明王などからみて、最も低位の、最も庶民的な信仰のイメージであろう。 七福神の個々の神々は、すべて渡来の神々であるにもかかわらず、七福神信仰として確立したのは、日本列島内でのことである。何でも受け入れ融合してしまう、極めて島国的な日本的な信仰なのである。
それではなぜ、今、七福神を取り上げるのか。それは日本の危機的な経済情勢、政治情勢、文化状況、宗教状況の中で、それらの危機を乗り切ろうとする勢力が、復古的な神仏を再び持ち出して、国民を彼らの意図する方向へ動員しようという動きが強まっているからである。特に、この長期不況の時代には、七福神がまたぞろ、もてはやされる傾向にある。 このような中にあって、筆者自身は、日本のいわゆる上部構造にあたる宗教、特に、天皇神道を頂点とする日本の神道おり、日本人のあらたな神道の神々の顕現といってよい」と述べている。つまり、七福神はすべて日本列島で作られた日本神道の神々のようにねじ曲げているのである。 もとより「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史観は、徹底して日本民族中心主義、日本国家中心主義、あるいは皇室中心史観、権力者中心史観に貫かれており、「卓越した大和民族によって築かれた大和国家の国体は、万世一系の皇統によって守られてきた」というような歴史観が根底にあるため、国家の歴史、皇室の歴史、社会の歴史のみならず、宗教の歴史、文化の歴史、芸術の歴史でさえも、一方的に偏った歴史観によってねじ曲げられているのである。
■神仏信仰の位階性と渡来性
日本宗教の特徴の一つとして、神仏混交、神仏習合といわれるように、神と仏が見境もなく渾然と融合していることを挙げることができる。大きな神社にいけば、神道の神々だけでなく、たとえば仏塔や経堂があったり、大きな寺院にいけば、稲荷神、八幡神などの祠があったりする。七福神の神々もまた、神社にも寺院にも存在する。神仏一体の典型が七福神なのであり、本書は七福神からはじまって日本の宗教構造の本質を、その根源にまで逆上って探 皇大神宮――伊勢神宮とその関連の神社
官幣大社――賀茂神社、松尾神社、春日神社、住吉神社、鹿島神宮、宇佐神社など
官幣中社――八坂神社、日枝神社、貴船神社、諏訪神社、北野神社、厳島神社など
官幣小社――大國魂神社、波上宮、竈門神社
別格官幣社――護王神社、東照宮、靖國神社、梨木神社など
國幣中社――浅間神社、鶴岡八幡宮、熊野神社、田村神社、金毘羅宮など
國幣小社――小國神社、駒形神社、湯殿山神社、古四王神社、物部神社など
このような位階性の中で、七福神の関連の神社も、美保神社、海神神社などを含めて低位に位置してきた。この位階性は先の敗戦を契機に廃止されたが、その残影は残ったままである。
○七福神は、本当に日本特有の神々なのか。根っこをたどれば、すべて渡来の神々ではないのか。
○七福神は、本当に庶民信仰なのか。それとも特定の勢力により、庶民に対して巧妙に押し付けられた信仰ではないのか。
○七福神信仰を作り上げた勢力とは、どのような人々なのか。それは渡来系の人々ではないのか。
○七福神は、なぜ、宝船に乗ってやって来るのか。彼らはいったいどこから来たのか。彼らはいったい
「七福神」のルーツを探る、めずらしい1冊です。本書を読んでから七福神めぐりに出かければ、きっと新たな発見があることでしょう!
著者紹介
久慈力[クジツトム]
1949年岩手県生まれ。ノンフィクション作家、住民運動家。自然保護、行政監視、住民自治拡大などの実践・著作に取り組む。縄文文化、先住民文化、東北古代史、エミシの抵抗史に関心をもち続け、それらをテーマにした創作活動も行う。「もののけ姫」の批評をきっかけにして、懸案になっていた東北古代史の再構築へとりかかる。日本古代史の内実にも鋭くせまる
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